友だちのうちはどこ?

1993年日本公開の作品です。

 

友だちのうちはどこ?(字幕版)

友だちのうちはどこ?(字幕版)

  • ババク・アハマッドプール
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ざっくしあらすじ

アハマッドの隣の席に座る友だちのモハマッドは、遅刻もしちゃうし宿題だって忘れちゃう。先生は次に同じことをしたら退学だとモハマッドに告げ、しょんぼりなモハマッド。今日のモハマッド可哀想だったな…。なんて考えていそうなアハマッドは家に帰り宿題をしようとカバンを開くと、なんということでしょう!そこにはモハマッドのノートが!!ヤバいぞアハマッド!さあ、友だちのうちはどこでしょう?

 

この作品、出演している子たちは全員素人ということなのですが、凄く上手なんです。普通、セリフを言うときに構えて変な言い方になってしまいそうなものなのですが、全く変じゃない。皆自然に話していて映画を観ているのか、ドキュメンタリーを観ているのか分からなくなってしまうほどでした。そして、主人公のアハマッドの困り顔が可愛くて可愛くて。観ているこっちまで困り顔になりました。

 

 

ストーリーはとってもシンプルで難しい事なんて何一つないのですが、只々アハマッドがあっちへ行ったりこっちへ戻ってきたりと、周りがのどかにゆっくりと行動しているのに対しててんやわんやに動いている対比が可笑しかったり。なんてことない日常の風景が何故か美しく見える映像でとても引き込まれました。ロケーションが素敵で、アハマッドが何度も走り回るあのクネクネした道なんてこの作品のための道!という感じでした。

 

唯一この作品で胸が痛かったのは、おじいさんにタバコのおつかいを言い渡されるシーン。子供はどんな状況でも大人のいうことは絶対で、どんなに理不尽でも従え!的なことを話しているシーンがあるのですが、やはりお国柄が違うのと宗教なんかの考えもあって、このような価値観や考え方が常となっているのは仕方がないことなのでしょうが、子供からしてみたら嫌だよなぁと思いました。少なくとも私は嫌です!このちょっと不条理な部分に焦点を当てている『ホームワーク』という作品を監督は撮っているので、多分監督もこの仕来りのような考えに思うところはあったんだなと思います。検閲が厳しいイランでこういった映画を撮るのは簡単な事ではなかったでしょうし、妥協や変更も多かったことは想像に容易いです。本当、素晴らしい監督ですね。

 

 

小津安二郎監督のファンであったと公言されていましたが、恥ずかしながら私小津監督の作品を観たことが無いのです。邦画をあまり見ないというのもありますし、私には難しそうだなとの考えから視聴していないので、皆さんがおっしゃる「小津的な演出」が分からないのですが、『いとおしいたべもの』の著者森下典子さんも本の中で、小津監督の作品に馴染みはなかったが大人になってから観ると泣けると書かれていたので機会があったら観てみようかなと考えています。