ジンジャーとフレッド

 

1985年イタリア・フランス・西ドイツ製作の作品です。

 

ジンジャーとフレッド [DVD]

 

ざっくしあらすじ

かつて恋人同士で「ジンジャーとフレッド」の名でコンビを組んでいたアメリアとピッポ。コンビを解消してから30年の月日が流れていたある日、テレビ局の企画で特別番組に出演することになりました。(日本でいう「あの人は今!」的なやつですね。)久しぶりに再会した2人は、昔の思い出などに浸りつつ切れのないダンスに不安を感じながらも本番へ向かいます。

 

監督は、イタリアを代表する「映像の魔術師」で有名なフェデリコ・フェリーニ。「道」「甘い生活」「81/2」などの作品を世に送り出しました。最初は新聞社勤務のシナリオなどを書く物書きでしたが、1950年に監督デビュー。世界的に名が広まった作品は「道」で、最近日本でも舞台が上演されたのでご存知の方も多いと思われますが、今日は「ジンジャーとフレッド」を紹介します。

 

キャストは、家庭に入ってすっかり落ちついてしまったジンジャーことアメリア役に、フェリーニの奥様でも知られるジュリエッタ・マシーナフェリーニが書いたラジオドラマに出演したのをきっかけに結婚。流産や最愛の一人息子の死、別居など悲しい出来事もありましたが、フェリーニの最期まで寄り添いフェリーニが亡くなった約5ヶ月後にジュリエッタも息を引き取りました。素敵な夫婦です。

時がたち、動きや容姿も冴えなくなってしまったフレッドことピッポ役に「81/2」「甘い生活」「ひまわり」などのマルチェロ・マストロヤンニ。2枚目も3枚目も演じることができる実力派だったため、歳をとっても役に困ることがなかった人です。同じく女性にも困ることがなく、カトリーヌ・ドヌーブソフィア・ローレンなどとも交際をしていた俳優です。スター!って感じがしていいですね(笑)。

 

よく、青春ラブストーリー系の作品で「胸がキュンとなる」って表現がありますが、私的胸がキュンとなる作品が、この「ジンジャーとフレッド」なんです。

時代に取り残された二人が新しいショウビズの舞台に戸惑ったり、昔はできていたステップが踏めなかったり、歳をとったことは分かっていても付き合っていた当初のまま相手を見ていたり、過去のいざこざをネタに終わったことなのにまた言い争ったり…。ですが、この2人はもう老いて死をゆっくりと待つだけの人生。綺麗ごとを言う世間は「まだまだ人生これから!」などと声高らかに言いますが、全ての人にそれが言えるかと問われると首を大きく縦には触れませんよね。そんな2人が古いアルバムをめくるように過ごしていく会話や表情を観ているとなんだか胸が締め付けられるのです。

 

変わりゆく時代の流れや考え方についていくことはできないし、理解しようにもあまりにもへんてこりんで受け付けることができぬまま取り残されていくけれど、同じ時を共にし、忘れられない出来事や思い出を共有できる人がいて、それが今はもう「過去」だけれど、「過去」を作れたことでもう十分なんだろうなと2人を観て感じました。

 

ラストシーンの2人の演技がとても素敵で、決して悲しくないのにどこかもの悲しさを感じずにはいられない表情やセリフは最近の作品ではあまりお目にかかれていないです。なんなのだろう、あの感じ…。うまく例えられないんですが、夏休みが終わるとか祭りが終わるみたいな、楽しいことが全て終わるときにちょっと近いかもしれません。ね?キュンとするでしょう(笑)?

 

ハラハラするアクションや難解なトリックなど派手な出来事は一切起こらない作品なので、好き嫌いが分かれてしまうと思いますが、ゆったりした牧歌的な作品も苦痛ではない方でしたら難なく観ることができます。なので、おうちデートで観るときは相手の嗜好をよく把握してから観ることをお勧めします('ω')

 

是非是非!

セブンシスターズ

 

2017年公開のイギリス・アメリカ・フランス・ベルギーで製作された作品です。

 

セブン・シスターズ(字幕版)

 

ざっくしあらすじ

異常気象・戦争・難民・人口増加などでほとんどの国が無くなり、ヨーロッパ連邦が牛耳るようになった世界。異常気象の影響で作物がほとんど育たなくなったので遺伝子組み換えで乗り切っていたのですが、その作物の作用で多生児が生まれるようになります。ただでさえ人口増加なのにさらに増えられちゃたまらん!ということで、「一家に子どもは一人まで」の一人っ子政策を行い、二人目以降は、枯渇した地球の資源が回復する日まで冷凍保存するという理由で、政府が強制的に親元から引き離していました。そんな中セットマン家でひっそりと誕生したのがこの七人姉妹です。各曜日の名前を付けられ、週1回だけ自分の曜日にカレン・セットマンとして外出するという生活を続けていました。しかし、ある日長女のマンデーが外出したまま戻らないという問題が起こり、彼女たちの人生の歯車が動き出します。

 

監督はノルウェー出身のトミー・ウィルコラ。この監督、2007年にメガホンを取ったばかりなのでまだキャリアが浅いのですが、それを感じさせない見事な作品に仕上がっていました。ただ、他のサイトのレビューを観るとそんなに評価高くないのですね。というか、私が単細胞過ぎるので大抵どの作品も良かったなぁ(*´ω`*)と思ってしまうので仕様がないのですが、皆さんとても厳しい眼をお持ちなのですね…。

 

キャストは、「ドラゴンタトゥーの女」「プロメテウス」「チャイルド44」などに出演しているノオミ・ラパススウェーデン出身で、15歳から演技の勉強をしており、スウェーデン語・英語・ノルウェー語・アイスランド語デンマーク語が話せる実力派俳優です。凄いですね(;´Д`)私は日本語もあやしいのに(笑)

カレンの祖父テレンス役に「プラトーン」「スパイダーマン」「ジョンウィック」のウィレム・デフォーがキャスティングされています。

 

この作品で、ノオミは1人7役を見事に演じており、それぞれ性格・容姿が違うので撮影には時間がかかったのではないでしょうか。マンデーは野心家、チューズデーは繊細、ウェンズデーは暴れん坊、サーズデーは反逆的、フライデーはおとなしい理系、サタデーはパーティー好きで一番女性的、サンデーは仲裁役で母親的。このように様々な個性を持つ7人が国を相手にドンパチするので、ノオミのアクションが炸裂します。

 

最近の女優はアクションもこなす方が増えていますよね。アンジェリーナ・ジョリーシャーリーズ・セロンなど多くの女優が殴りあっていますが、ノオミ・ラパスのアクションは泥臭い感じがして好きです。顔つきが骨ばっていて男性的なのでそう感じてしまうのかもしれないのですが、彼女のパンチはめちゃくちゃ重そうなんです。凄く痛そう(笑)「アトミックブロンド」でのシャーリーズのアクションもスピード感があってハラハラするのですが、身のこなしがとてもしなやかで綺麗でダンスに近い感じなんですよね。どちらのアクションが良い悪いではないですが、これだけ違いがあるのは面白いです。

 

世界観はブレードランナーとハンガーゲームの世界を混ぜた感じ…、うーん伝えにくいですが、近未来なツールや装置はあるのだけれど廃墟のようなボロい建物や閉鎖的な空間が先に述べた2作品の世界観にちょっと近いと思いました。劇中で食べてるネズミだったかな?そういった珍味的なものを闇市で買っているシーンはブレードランナーっぽいですよね。

 

この作品で唯一注文をつけるとすれば、カレンの祖父テレンス役のウィレム・デフォーをもっと重要なキャラクターにして出演シーンも多くしてくれたらよかったかなぁー、とはちょっと思いました。そうすればもっと見ごたえのある作品になったような気がしなくもありませんが、話のテンポも良いですし、アクションもしっかりしていて後味も悪くない作品なので、見ごたえは十分にあると思います。

 

アクションがある作品が観たいけど何を借りようか迷っている方にはお勧めです。

是非是非!

 

 

フルメタルジャケット

1987年にアメリカで公開された戦争映画。

戦争映画で一番大好きな作品です。

 

フルメタル・ジャケット (字幕版)

 

ざっくしあらすじ

ベトナム戦争時、海兵隊に志願した青年たちは海兵隊訓練キャンプで厳しい訓練を受けることになります。そこで鬼教官ハートマン先任軍曹の人種差別バリバリな罵声、異常なまでの体罰などを駆使した「教育」で訓練生たちをしごいてしごいてしごきまくります!そんなキャンプの中では、落ちこぼれな訓練生へのいじめなどもあり、かなり閉鎖的な空間の中で訓練生たちは心身をすり減らします。その中でも落ちこぼれのレナードこと微笑みデブは、いじめられながらもジョーカーたちのサポートを得て、最終的にはハートマン先任軍曹から射撃の才能を認められるまでに成長したものの、既に微笑みデブの精神は崩壊しており、キャンプ最終日の暗いトイレでハートマン先任軍曹を射殺し自分もその銃で自ら命を絶ちます。そんな波乱な幕開けでベトナムへ送られた訓練生たちは、さらに過酷な戦場へ足を踏み入れることになります。

 

監督は「無冠の帝王」でも有名なスタンリー・キューブリックです。アメリカ出身ですが後にイギリスへ移住したため、この作品は全編ロンドンで撮影されています。なぜ、ベトナムでのロケを行わなかったかというと、プロ―モーションなどで飛行機移動が必要な場所へは行かなかったほど飛行機が苦手なので、ロンドン近辺の工場跡に、輸入してきたヤシを植えて撮影を行いました。

主なキャストは、ジェイムズことジョーカー役にマシュー・モディーン、レナードこと微笑みデブ役にヴィンセント・ドノフリオ、鬼教官ハートマン先任軍曹にR・リー・アーメイが出演しています。

 

前半が訓練所、後半が戦場という2部構成で撮られており、前半はややコメディタッチなのですが、話が進むにつれて徐々に狂気に満ちていく様が下手なホラーよりよっぽど怖く感じます。特に微笑みデブを演じたヴィンセントの演技は卓越しており、締まりのない顔でジェリー付きドーナッツを食べていた前半とは比べ物にならない変化を見事に演じています。これに併せて、いかに戦争が人を狂わせるものかということも強烈に映し出されていました。

 

強烈といえば、リー・アーメイのハートマン先任軍曹もドンピシャなハマり役でしたね。彼は元々海兵隊に所属していた正真正銘の軍人だったため、罵詈雑言はお手の物だったようで、当初彼は演技指導で呼ばれていたもののあまりに迫力があったため急遽キャスティングされたのは有名な話です。そんなリー・アーメイですが、2018年4月にお亡くなりになられたそうです。

 

戦争映画にありがちな血生臭く、男臭い感じがほぼなく、戦場という緊迫した状況の中、なんだか頭も顔もユルい緊張感皆無の兵士たちが逆にリアルに映り、この作品を観た後に他の戦争映画を観るとなんだか胡散臭く見えてしまいました。つい最近観た「ハーツアンドマインズ」というベトナム戦争のドキュメンタリーを観ると尚更兵士たちの感じがリアルに思えます。

 

ゲームのように人を殺せるから最高に楽しかった旨を、後に除隊した元ベトナム戦争兵がドキュメンタリーで語っていましたが、フルメタルジャケットではそんな兵士たちを忠実に再現しているところも見どころの一つです。輸送ヘリのドア・ガンナーがそれをよく表しています。「逃げる奴はベトコンだ、逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ!」や、ジョーカーの「よく女子供が殺せるな」という質問に「簡単さ、動きがのろいからな」と答え、「ホント、戦争は地獄だぜ!」と言い放つセリフは忘れられません。

 

あと、ベトナムではよくあるジャングルでの戦闘が無く、コンクリ―ト廃墟での戦闘が主なのも新鮮で(まぁ、これは飛行機嫌いな監督のせいなんですけどね(笑))、主人公のジョーカーがメガネ男子ってところも戦争映画では珍しいタイプでしたね。メガネキャラは衛生兵役が多いイメージだったので意外だなーと思いながら観ていました。ラストシーンで、レンズが炎の光で反射して眼が映らないシーンがあるのですが、それを観たときやっとメガネで正解なんだと思いました。完璧主義なキューブリックの考えることはすごいですね、流石です。

 

そして、最後に流れる曲が「ミッキーマウスマーチ」とザ・ローリング・ストーンズの「黒くぬれ!」なのですが、こんなに陰鬱で悲壮感漂うミッキーマウスマーチ聞いたことありません(笑)。不気味でしたね、ザワザワする感じ。例えると、ミサイル発射のJアラートが鳴った時と同じザワザワ感がありました。歩いているだけでも死ぬかもしれないんだという恐怖や人を殺してしまった自分への恐怖、今後普通に今まで通り暮らしていけるのかという不安感など複雑な感情が沸き上がります。エンドロールで流れる「黒くぬれ!」のあのシタールの音色とミック・ジャガーのダウナーな始まりから堰を切ったようなシャウトへ流れる様は、この作品のようでがっちりとマッチしていました。なので、「黒くぬれ!」を聞くと何とも言えない複雑な感情でいつも胸が重くなります。「地獄の黙示録」のエンドロールがザ・ドアーズの「THE END」だったのを受けてのオマージュ?だったのでは?との噂もありますね。

 

70年代後半から80年代はベトナム戦争が題材の作品が多く発表されており、この作品の他にも「プラトーン」や「地獄の黙示録」「グッドモーニングベトナム」「ハンバーガヒル」「キリングフィールド」など沢山公開されていますが、戦争映画だったら何を勧めるか?と問われると私は迷いなくこの作品を勧めます。キューブリック節がさく裂‼という作風ではないので、キューブリックを堪能したいという人にはちょっと違うかな?と思いますが、戦争映画が観たいと思っている人にはお勧めです。

 

是非是非!

白い恐怖

1945年公開作品。

白い恐怖

 

ざっくしあらすじ

美人で真面目な精神科医コンスタンスが勤務している病院は精神を病んでいる患者を集中的に扱っています。ある日、マーチソン病院長に変わり新しい病院長エドワード博士が赴任してきます。しかし、このハンサムな病院長、白地に縞のある模様を見ると発作を起こす妙な人物で、周りは次第に彼がエドワードではないことに気づき、彼を疑いの目で見るようになります。しかし、偽エドワードに熱を上げているコンスタンスだけが彼の味方となり、二人で謎を解き明かしてゆきます。

 

監督は「サスペンスの神様」こと、アルフレッド・ヒッチコック。「サイコ」「めまい」「裏窓」「鳥」等々、沢山のサスペンススリラー作品を世に送り出した監督です。彼の作品の中では「サイコ」「鳥」辺りが知名度が高いかもしれないですが、今回は「白い恐怖」を紹介します。

 

キャストは、勉強熱心で真面目な精神科医コンスタンス役に「カサブランカ」「別離」「汚名」などのイングリッド・バーグマン、新しい病院長エドワーズ博士だと思い込んで病院に来てしまった記憶喪失のジョン役に「ローマの休日」「オーメン」でおなじみのグレゴリー・ペックが出演しています。

 

かなり古い作品しかも白黒なので、観にくいかなと思いましたが私は全く気になりませんでした。むしろ、イングリッド・バーグマンの美しさにビビッてました(笑)。あの時代であれだけ美人って凄いですよね。美容整形だってまだまだ発達していなかったあの時代に、あの顔は素晴らしい…ポーっとしちゃいます(*´Д`)ブロンド美人を出したがるヒッチコックらしいキャスティングです(笑)。同じブロンドでグレース・ケリーもかなりの美貌ですが、イングリッドの方がふっくらとした輪郭で親しみやすさがありますよね。

 

相手役のグレゴリー・ペックの2枚目ぶりも思う存分堪能できます。ハンサムって言葉がとてもお似合いで、知的で紳士的なところも素敵でした。最近はグレゴリーのようなスマートで紳士的なハンサム俳優って少なくなったような気がします。結構肉体派な男らしいマッチョメンが多い印象です。時代の移り変わりで女性の好みも変わったのでしょうかね(笑)?

 

精神病棟や精神疾患がキーとなるこの作品は当時としてはまだ物珍しかったテーマで、ヒッチコックは後に「サイコ」で精神的にちょっとヤバいマザコン殺人鬼を描いており、この作品が精神疾患を扱う最初の作品になっていると思われます。

 

自分が殺害したかもしれない記憶を蘇らせなければいけない恐怖、白地に縞を見ると無意識に発作を起こしてしまう恐怖、自分が何者なのかもわからない恐怖、追いつめられる恐怖。と沢山の恐怖によって進められていくのですが、その中で唯一癒しになるのがコンスタンスの無垢な愛情と知性です。医者ということもあり、映画でよくあるおっちょこちょいなヒロインとは違い、冷静で気転の利く女性なので観ているこっちも安心できます。

 

ダレてしまわないか心配したのですが、そこはヒッチコックらしく随所随所にハラハラさせるシーンがしっかり入ってくるのでダレることなく楽しむことができ、時間を忘れることができました。ちゃんとヒッチコックカメオ出演もあるので、ヒッチを探しながら観るのも楽しいですよ!

更に、あるシーンではサルバドール・ダリが協力しているため、より「精神」「記憶」「幻覚」などのイメージを色濃く受け取ることができます。

 

あと、私のヒッチコックの好きな箇所なのですが、最後に絶対「THE END」のクレジットがあるところと、チョイ役で出てきたキャラクターが最後にひょうきんな感じで出てきてクスッとさせて締めるところが、ヒッチコックの人柄が出ていてとても好きです。

 

蛇足ですが、「羊たちの沈黙」にてアンソニー・ホプキンス演じるハンニバル・レクターが収監されているときに身に付けている物は全て真っ白な衣装でしたよね。普通、アメリカの囚人服はオレンジのイメージですが、あえて白にしたそうです。これはアンソニーの発案で理由は、白い白衣を着て真っ白い空間の中で施術する歯科医のイメージから衣装を白にしたそうです。

確かに、この作品も病院で白衣を着た医者や看護婦が患者へ鎮静剤を打ったり、薬を飲ませたりしているシーンを観ると、白=恐怖の色というのは頷けます。

 

ヒッチコックの作品の中では目立っているかと言われるとそうではないのですが、彼がいかに目の付け所が鋭い監督だったのかということが実感できる作品だと思うので、「サイコ」や「裏窓」「めまい」などヒッチコックに少しでも触れていて、興味があるという方が観て損はない作品です。

 

是非是非!

シカゴ

色々なミュージカル映画がありますが、ストーリー構成がミュージカルが苦手な人もすんなり入っていけるのではないでしょうか。

2002年アメリカで公開された作品です。

 

シカゴ(字幕版)

 

ざっくりあらすじ。

舞台は1920年代のシカゴ。この街で人気ダンサーになることを夢見ている、世間知らずなロキシーと地元で人気のダンサーヴェルマ。ロキシーは浮気相手を、ヴェルマは妹と夫を殺害しクック郡刑務所へ送られます。そこで、よーく喋る嘘八百弁護士ビリーが二人の弁護を担当。上手くロキシーを悲劇のヒロインに仕立て上げることに成功し、一躍人気者になったロキシー。ただ黙っていないのが世間からの注目を一身に浴びていたヴェルマ。再度自分がセンターへ返り咲くために、ロキシーにデュエットを組むことを提案しますが、天狗になったロキシーはこれを拒否‼バチバチと二人は火花を散らします。

 

監督は、ブロードウェイで振付師をしていたロブ・マーシャル。彼は自他ともに認めるボブ・フォシーの大ファンで、1975年に上演されたボブ・フォシー脚本のブロードウェイ版「シカゴ」を映画化する構想を練り、見事実現。舞台とはナンバーが少ないなど若干の違いはあるものの、それが功を奏したのかとても観やすくなっています。この作品のほかにも「SAYURI」「パイレーツオブカリビアン/生命の泉」のメガホンも取っています。

 

キャストは、「ブリジットジョーンズの日記」でもお馴染みのレネー・ゼルヴィガーがおつむの弱いロキシー役を、自信家で高飛車なヴェルマ役を「マスクオブゾロ」「ターミナル」「オーシャンズ12」などに出演している、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。ぺちゃくちゃ弁護士ビリー役には、「愛と青春の旅たち」のリチャードギアがキャスティングされています。

この他にも、クイーン・ラティファジョン・C・ライリー、ほんとチョイ役にルーシー・リューも出ています。

 

アカデミー賞では、作品賞、助演女優賞美術賞、衣装デザイン賞、音響賞、編集賞など数々の賞を総なめにし、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは見事最優秀助演女優賞を受賞していましたね。レネー・ゼルヴィガーも惜しくも逃しましたが主演女優賞にノミネートされていました(この年のGG最優秀主演女優賞は受賞しています。)。リチャード・ギアもこの作品でGG最優秀男優賞を受賞しています。

ミュージカル作品でショーレースに入ることがなかなか難しいとされていた中での作品賞受賞は大変大きな話題となっていたのも記憶に残っています。

 

さて、この作品何故ミュージカルが苦手な人でもおすすめできるかというと、構成にあります。

 

ミュージカル嫌いな人が口を揃えて言うのが「いきなり歌いだすあの感じが無理、意味不明。死にそうな恋人を目の前にして歌うとか…、普通救助するじゃん。」てなことを言いますね。ファンタジー作品ともSF作品とも違う非現実な世界観がミュージカルにあるのは確かです。ですが、この「シカゴ」はいきなり歌いだすとか踊りだすって感じではなく、あくまでロキシーの妄想、頭の中での出来事としてミュージカルシーンが映し出される流れで、ちゃんとワンクッション置いてあるので安心して観ていただきたいです。

 

あと何といっても、キャサゼダの歌と踊りの達者なこと‼

元々ミュージカル上がりの役者で、「アニー」などにも出演していたそうです。だから、あれだけステップが踏めて踊れるのか…と納得しました。しかも、撮影中は妊娠していたそうで、確かに少しふっくらしてる?感じはありますが、私はあれぐらいのスタイルが一番好きです。現に、細すぎるより少しふっくらしていないとあの衣装は着こなせていないと思います。色気もムンムンですしね(笑)

リチャード・ギアもブロードウェイの舞台を踏んでいるだけあって、華麗なタップダンスシーンを披露しています。彼は後に、日本で製作公開された「シャルウィダンス?」のハリウッドリメイク版の主人公を熱演していました。

そしてこの中で唯一のミュージカル未経験者がなんと主演のレネーだったんですね。監督から話があったときはかなり腰が引けていたようです。そりゃそうですよね、他の2人は立派な経験があるのに自分はまったくの素人となれば弱腰にもなりますわな(-_-;)でも、そこはプロ!作中では歌も踊りも難なくクリアしており、運動神経抜群な彼女は結構アクロバティックなダンスも披露しちゃっています‼歌もあの可愛らしい声を生かした歌い方をしているので、ヴェルマの力強い女性像とは対照的なか弱い女性像をうまく表現していました。

 

衣装やセットもとてもおしゃれで洗練されており、変に目立ってしまいがちな網タイツもまるでストッキングのように全く浮くことがないスタイリングは素敵でした。ちなみに、DVDの完全生産限定版にはシステム手帳、パフューム・ボトル、シガレットケース、網タイツが同梱されていたようです。欲しい(*´Д`)

キャサゼダのサスーンカットも私の中では大ヒットでした、すぐ同じ髪型にカットしに美容室へ走りました(笑)

 

あと、ヴェルマがロキシーにゴマをするシーンで、ロキシーのファンからの差し入れを持っていくシーンがあるのですが、その品がサンフランシスコから届いたキャラメルクリームの入ったチョコレートで、ロキシーは一口も食べないですし、映るのもちらっとしか映らないのですが、このシーンを観るたびに「めちゃくちゃ美味しそうだなぁ(*´Д`)」と思ってしまいます。甘そうでくどそうで胸焼け必須だと思うのですが、食いしん坊の私はいつも食べたい衝動にかられます。

 

最近では、「ラ・ラ・ランド」「グレイティストショーマン」などの新しいタイプのミュージカル作品が登場しており、どの作品もとても感動的で素晴らしいものばかりですが、この「シカゴ」は何も考えなくても観れるし、飽きないし、テンポも良く、音楽も秀逸(ジャズ系の音楽が好きな人は特にお好きかもしれません)なのでリラックスタイムのひと時にはピッタリの作品だと思います。

 

是非是非!

 

エクソシスト

1973年にアメリカで公開された言わずと知れたホラー映画の傑作です。

エクソシスト ディレクターズカット版 (字幕版)

 

ざっくりしたあらすじ。

女優のクリスのはシングルマザーで一人娘のリーガンを育てています。忙しい合間を縫って娘との時間を大切にし愛情をかけてはいますが、お手伝いさんがいるので日常の世話ははっきり言ってノータッチ。そんな母の娘リーガンは寂しい日々を過ごしている中、ウィジャボード(日本でいうこっくりさん)を一人でやったりしていたせいかどうかは不明ですが、徐々におかしくなっていきます。その異変に気付いたクリスはあらゆる医療機関での検査をリーガンに受けさせるのですが異常なし。匙を投げた医者に神へ救いを求めなさい的なことを言われ、カラス神父に相談します。最初は信じていなかったカラス神父もリーガンのクレイジーぶりにドン引き。教会の許可を得て、悪魔祓い経験者のメリン神父へコンタクトを取り、いざ悪魔祓いへ‼

てな感じのストーリーです。

 

 

監督は「フレンチコネクション」や「英雄の条件」なども手掛けた、ウィリアム・フリードキン

キャストは、悪魔に取りつかれて大変なことになってしまう娘リーガン役にリンダ・ブレア。悪魔に取りつかれて大変なことになった娘リーガンの母親クリス役に「アリスの恋」、「ハリーとトント」などで知られるオスカー女優エレン・バースティン。そして、悪魔に取りつかれて大変なことになっている娘に手を焼くメリン神父とカラス神父役にマックス・フォン・シドージェイソン・ミラーが出演しています。

 

マックス・フォン・シドーは当時44歳と若かったのにも関わらずこのおじいちゃん感は素晴らしいですよね。まさに役者。なので、2015年公開の「スターウォーズ/フォースの覚醒」で彼を観たときはメリン神父のまんまだったのでかなり驚きました。と、時が止まってる…‼

 

カラス神父役のジェイソン・ミラーは、舞台中心の役者さんだったようで、映画出演はそこまで多くはないもののこの「エクソシスト」で米アカデミー賞助演男優賞にノミーネートされた実力派でしたが、残念ながら2001年に心臓発作でお亡くなりになられています。

 

公開当時は、あまりにもショッキングなシーンが多かったため失神者が続出したと言われているのは有名ですよね。確かに、当時でこの特殊メイクとリンダ・ブレアのあの演技は斬新でショッキングこの上なかったと思われます。

ただ、可哀そうなことにリンダ・ブレアはリーガン役が強烈過ぎたため、後のキャリアに影を落としてしまったのは残念でしたね(;ω;)

 

私の中で「ホラー=エクソシスト」となるほど大好きな作品で、2000年にDC版が公開された当時私は11歳でしたが、幼いながらに「この作品が劇場で見られるチャンスはもうないのでは⁈」と思い、ビデオで何度も一緒に視聴し若干飽きている祖父に頼み込み連れて行ってもらったことを思い出します(´ω`)

 

劇場で観たとき、あのテーマ曲「チューブラー・ベルズ」が聞けたとき嬉しかったですねー。携帯の着信音も「チューブラー・ベルズ」にしていたほどでした( ´∀` )

 

ホラー作品はどうしてもB級に陥りやすい題材で扱うには結構難しいと思うのですが、監督や脚本家の手腕が素晴らしく、映像のコントラストや音響、不気味さがいい塩梅で描かれています。だいたいのホラーは暗闇が多いですが、エクソシストはあまり暗闇を多用していなかったのが印象的でした。暗い中でワッ!って演出もありますけど無闇やたらにというわけではありません。フツーに真昼間からどぎついもの見せちゃう系です、単なる驚かせ目的な作品ではないというのもあるかもしれないです。でも失神者続出してしまいましたけどね(笑)

そして何といっても特殊メイクが素晴らしく、あれこそ本当の小悪魔メイクってやつだと思っています。他の作品で、悪魔に憑りつかれてる人の顔をみるとやはり皆「リーガン風小悪魔メイク」になっているので、この作品のホラーに対する貢献度は非常に高いと思います。 

あと、私が一番気になってみていたのが、嘔吐のシーンです。緑色のペースト状のものをゲェ~とするのですが、あれはなんのペーストなんだろう?ほうれん草とジャガイモのペーストかなぁ~?と毎回観ていて考えるのですがどうなんでしょう?食紅も使用しているとは思うのですが、私は抹茶アイスの色に一番近いとみています。なので、最近観るときはできる限り抹茶アイスを食べながら観るという気持ちの悪いことをしています!でも、一回やると病みつきになるのでぜひ実践してみてほしいです(笑)

 

悪魔のいけにえ」や「13日の金曜日」「悪魔の棲む家」などの絶叫系の作品では、役者の演技が少し疎かになるのもホラーの特徴ですが、この作品はなんてったって実力のある俳優が監督に過激な演出をされながら演じているので(ショットガン傍らに演技指導していたらしいです(*_*;) 、限界ギリギリな人間のリアルさが存分に映し出されており、ジェイソン・ミラー演じるカラス神父のあの何とも言えない孤独でひだるい感じが観ている者をとても嫌な気分にさせてくれます(笑)

どうしても、リーガン扮するリンダ・ブレアに目が向きがちですが、ジェイソン・ミラー力石徹のような風貌とぎょろついた目が私的には一番怖いんですよね。

また、この作品は「メリン神父とカラス神父VS悪魔」の他に「母VS悪魔」の戦いでもあります。リーガンがおかしくなっていく様子を見て、クリスは葛藤し解決策はないかと奮闘していくのですが、肝心の父親は空気のようなというか存在が空気(笑)。周りのお手伝いさんたちも見守るしかなくどうすることもできない状態でたった一人、奔走しているシーンは観ていて苦しくなります。解決策のない問題に直面した時の、言いようのない強烈な恐怖と孤独に苛まれていく様も非常によく描かれており、受け取り様によっては親子の物語としても観ることができます。

 

 

色々と斬新で新しいホラーの風を吹き込んだこのエクソシスト。ただ、若い人はタイトルを聞いてもピンとこない人が多く、最近製作されているCGが多用されたデジタルな映画を観ている子たちにとって、すべてがアナログで人の手によって細かく作られていることを知ったら驚くでしょうね(笑)。

はじめまして

 

子無し専業主婦のハグキと申します。

映画が好きで、毎月のように観ているのですが感動の貯金ばかりが増えつつあり、なんだか勿体なく思っていたところ旦那に

 

「ブログでもやってみたらいいんじゃない?(^0ω0^)」

 

と言われたので始めてみることにしました‼

 

感想と言っても小難しい言葉は並べられないですし、奥深い味わいのある考えもないので、単純な感情と言葉で綴ってゆきます。深く追及した感想をお求めの方はそっとブラウザを閉じてください(´ω`)