エクソシスト

1973年にアメリカで公開された言わずと知れたホラー映画の傑作です。

エクソシスト ディレクターズカット版 (字幕版)

 

ざっくりしたあらすじ。

女優のクリスのはシングルマザーで一人娘のリーガンを育てています。忙しい合間を縫って娘との時間を大切にし愛情をかけてはいますが、お手伝いさんがいるので日常の世話ははっきり言ってノータッチ。そんな母の娘リーガンは寂しい日々を過ごしている中、ウィジャボード(日本でいうこっくりさん)を一人でやったりしていたせいかどうかは不明ですが、徐々におかしくなっていきます。その異変に気付いたクリスはあらゆる医療機関での検査をリーガンに受けさせるのですが異常なし。匙を投げた医者に神へ救いを求めなさい的なことを言われ、カラス神父に相談します。最初は信じていなかったカラス神父もリーガンのクレイジーぶりにドン引き。教会の許可を得て、悪魔祓い経験者のメリン神父へコンタクトを取り、いざ悪魔祓いへ‼

てな感じのストーリーです。

 

 

監督は「フレンチコネクション」や「英雄の条件」なども手掛けた、ウィリアム・フリードキン

キャストは、悪魔に取りつかれて大変なことになってしまう娘リーガン役にリンダ・ブレア。悪魔に取りつかれて大変なことになった娘リーガンの母親クリス役に「アリスの恋」、「ハリーとトント」などで知られるオスカー女優エレン・バースティン。そして、悪魔に取りつかれて大変なことになっている娘に手を焼くメリン神父とカラス神父役にマックス・フォン・シドージェイソン・ミラーが出演しています。

 

マックス・フォン・シドーは当時44歳と若かったのにも関わらずこのおじいちゃん感は素晴らしいですよね。まさに役者。なので、2015年公開の「スターウォーズ/フォースの覚醒」で彼を観たときはメリン神父のまんまだったのでかなり驚きました。と、時が止まってる…‼

 

カラス神父役のジェイソン・ミラーは、舞台中心の役者さんだったようで、映画出演はそこまで多くはないもののこの「エクソシスト」で米アカデミー賞助演男優賞にノミーネートされた実力派でしたが、残念ながら2001年に心臓発作でお亡くなりになられています。

 

公開当時は、あまりにもショッキングなシーンが多かったため失神者が続出したと言われているのは有名ですよね。確かに、当時でこの特殊メイクとリンダ・ブレアのあの演技は斬新でショッキングこの上なかったと思われます。

ただ、可哀そうなことにリンダ・ブレアはリーガン役が強烈過ぎたため、後のキャリアに影を落としてしまったのは残念でしたね(;ω;)

 

私の中で「ホラー=エクソシスト」となるほど大好きな作品で、2000年にDC版が公開された当時私は11歳でしたが、幼いながらに「この作品が劇場で見られるチャンスはもうないのでは⁈」と思い、ビデオで何度も一緒に視聴し若干飽きている祖父に頼み込み連れて行ってもらったことを思い出します(´ω`)

 

劇場で観たとき、あのテーマ曲「チューブラー・ベルズ」が聞けたとき嬉しかったですねー。携帯の着信音も「チューブラー・ベルズ」にしていたほどでした( ´∀` )

 

ホラー作品はどうしてもB級に陥りやすい題材で扱うには結構難しいと思うのですが、監督や脚本家の手腕が素晴らしく、映像のコントラストや音響、不気味さがいい塩梅で描かれています。だいたいのホラーは暗闇が多いですが、エクソシストはあまり暗闇を多用していなかったのが印象的でした。暗い中でワッ!って演出もありますけど無闇やたらにというわけではありません。フツーに真昼間からどぎついもの見せちゃう系です、単なる驚かせ目的な作品ではないというのもあるかもしれないです。でも失神者続出してしまいましたけどね(笑)

そして何といっても特殊メイクが素晴らしく、あれこそ本当の小悪魔メイクってやつだと思っています。他の作品で、悪魔に憑りつかれてる人の顔をみるとやはり皆「リーガン風小悪魔メイク」になっているので、この作品のホラーに対する貢献度は非常に高いと思います。 

あと、私が一番気になってみていたのが、嘔吐のシーンです。緑色のペースト状のものをゲェ~とするのですが、あれはなんのペーストなんだろう?ほうれん草とジャガイモのペーストかなぁ~?と毎回観ていて考えるのですがどうなんでしょう?食紅も使用しているとは思うのですが、私は抹茶アイスの色に一番近いとみています。なので、最近観るときはできる限り抹茶アイスを食べながら観るという気持ちの悪いことをしています!でも、一回やると病みつきになるのでぜひ実践してみてほしいです(笑)

 

悪魔のいけにえ」や「13日の金曜日」「悪魔の棲む家」などの絶叫系の作品では、役者の演技が少し疎かになるのもホラーの特徴ですが、この作品はなんてったって実力のある俳優が監督に過激な演出をされながら演じているので(ショットガン傍らに演技指導していたらしいです(*_*;) 、限界ギリギリな人間のリアルさが存分に映し出されており、ジェイソン・ミラー演じるカラス神父のあの何とも言えない孤独でひだるい感じが観ている者をとても嫌な気分にさせてくれます(笑)

どうしても、リーガン扮するリンダ・ブレアに目が向きがちですが、ジェイソン・ミラー力石徹のような風貌とぎょろついた目が私的には一番怖いんですよね。

また、この作品は「メリン神父とカラス神父VS悪魔」の他に「母VS悪魔」の戦いでもあります。リーガンがおかしくなっていく様子を見て、クリスは葛藤し解決策はないかと奮闘していくのですが、肝心の父親は空気のようなというか存在が空気(笑)。周りのお手伝いさんたちも見守るしかなくどうすることもできない状態でたった一人、奔走しているシーンは観ていて苦しくなります。解決策のない問題に直面した時の、言いようのない強烈な恐怖と孤独に苛まれていく様も非常によく描かれており、受け取り様によっては親子の物語としても観ることができます。

 

 

色々と斬新で新しいホラーの風を吹き込んだこのエクソシスト。ただ、若い人はタイトルを聞いてもピンとこない人が多く、最近製作されているCGが多用されたデジタルな映画を観ている子たちにとって、すべてがアナログで人の手によって細かく作られていることを知ったら驚くでしょうね(笑)。