メタルヘッド

 

2011年アメリカで公開された作品です。

 

メタルヘッド (字幕版)

 

ざっくしあらすじ

母親を交通事故で亡くしてしまったT.Jと父ポールは現実を受け止められずにいました。父は依存症患者のような状態になってしまっているし、学校では虐められるわで何一つ良いことがない日々を送っていました。その日もスーパーマーケットの駐車場で虐められていましたが、スーパーのレジ係ニコールがT.Jを助けます。デカくて度が強いであろうダサいメガネを掛けた地味な女性ですが、T.Jはそんな彼女に淡い恋心を寄せます。そんなT.Jの目の前に突然ヘッシャーと名乗るイカれたメタル野郎が現れます。その行動は正に破天荒で、T.Jの祖母マデリンの家に勝手に住み始めたり、車にガソリンを撒いて燃やしたり(爆破に近かったかも(;´Д`))します。そんなヘッシャーと行動を共にしていくT.Jは前を向くことができるのでしょうか。

 

監督は、スペンサー・サッサー。彼は、CMやミュージックビデオなどで腕を磨いてきた人で、この「メタルヘッド」が彼の長編映画デビュー作になります。「かいじゅうたちのいるところ」のスパイク・リーに経歴が似ていますね。

 

キャストは、辛すぎる毎日を送っている少年T.J役にデヴィン・プロシュー。

イカれたメタル野郎ヘッシャー役に「500日のサマー」「インセプション」「ダークナイトライジング」のジョゼフ・ゴードン=レイヴィット。この作品以前は爽やかなイメージの役が多かったジョゼフでしたが、今回は長髪・ひげもじゃ・タトゥーバリバリの世捨て人ルックで登場します。短髪で少し神経質そうな感じも似合っていますが、世捨て人ルックもなかなか板についていました。セリフもほとんどFワードしかないのでは?と思うほど下品なのですが、T.Jの祖母マデリンと仲良くなったり、T.Jやニコールを助けてくれたりと結構いい奴なんです。ギャップ萌えってやつですね。私がもし男優だったら絶対オーディション受けに行くだろうなと思うほど、とてもいいキャラクターです。

冴えないスーパーレジ店員ニコール役に「レオン」「スターウォーズ」「ブラックスワン」のナタリー・ポートマン。ナタリーはプロデューサーも兼任するほど熱を入れています。オスカーを獲った後の作品にこれを選ぶとは…、流石ハーバード大卒であります。仕事のとり方が上手い(笑)。

 

誰にでも生きていて1度や2度「最悪な時期」ってあります。そんな「最悪な時期」を過ごしている人間たちが今回描かれていますが、特にニコールの辛さが嫌というほど共感できます。なぜ、こんなに金が足りんのだ_( _´ω`)_なぜ、こんな時に駐禁_( _´ω`)_なぜ、こんな時に事故る_( _´ω`)_と、まぁリアルな不運が連発しています。他のキャラクターが浮世離れしているので、尚更ニコールに共感してしまいます。

 

監督がインタビューで、ヘッシャーのような破天荒でフラフラしたやつにすごく興味があって憧れると話していましたが、私も同感です。憧れます、ヘッシャー。彼は、出来ないことを簡単にやるんです。私は車燃やしたりできないです、怖いから(笑)でも、ヘッシャーみたいな人って正直に意見を言うし、行動することができるんです。あまりにも辛い過去があるのか、逆に何も無いのかのどちらがだとは思うのですが、怖いもの知らずって最強ですよね。実際身近にヘッシャーみたいのがいたら絶対に関わりたくないですけど、知人のまた聞きで近状とかは知りたいタイプです(笑)

 

嫌なことや悲しい事や辛いことって沢山あって、それがたとえ些細な事でも積もり積もればやがて大きなモノになってしまって、気づいた時には手の施しようがなく、途方にくれて泣くことしかできなかったり、外に出ることができなくなってしまって一歩踏み出せない時が誰しもあると思います。色々な解決法があるはずだけど、見つけられない。そんなときに、壊して壊して壊しまくって、やりたい放題自由気ままに生きているヘッシャーを見るとどうでもよくなります。生きていればなんとかなるかと思わせてくれます。ルックスは世捨て人ですが、やっぱりジョゼフが出ている映画は爽やかで素敵です。

 

あと、作中でメタリカが沢山流れるのもポイントです。めったに楽曲提供しない彼らですが、ヘッシャーのモデルが24歳の若さで亡くなったメタリカのベーシスト、クリフ・バートンだということに感動し提供に至ったというエピソードもあります。タイトルロゴもメタリカのロゴと同じなのも微笑ましいですよね。

 

自己嫌悪に陥った時やもやもやした時、スカッとしたい気分の時に是非手に取ってほしい作品です。「どうにでもなる、大丈夫!」と思わせてくれます、なんてったってキャッチコピーが「最悪な人生にファッ〇・ユー!」なんで!

 

是非是非!