荒野にて

2018年にアメリカで公開された作品です。

 

荒野にて(字幕版)

 

ざっくしあらすじ

父と二人暮らしのチャーリーの楽しみは競走馬“リーンオンピート”の世話をすること。ある晩、「俺の女房と寝たろ!」と怒鳴りこんできた不倫相手の夫に父が銃で撃たれ大けがを負ってしまい、その傷が悪化し亡くなってしまいます。居場所をなくしたチャーリーは、脚を悪くしてしまい殺処分が決まったピートと共に、小さな頃に良くしてもらった叔母の家を目指し旅立ちます。

 

厩舎のオーナー役にスティーブ・ブシェミが出ているのですが、歳をとったせいでしょうか、あの独特なブシェミ感が薄まっていて、いい感じにこの作品に溶け込んでいました。初めは誰だか分からなかったぐらいでしたから、やはり上手ですよねブシェミ。

 

主人公のチャーリー役を演じた、チャーリー・トンプソンもとても素晴らしかったです。良いとは言えない生活環境の中でも文句も言わず順応していこうと生きる姿を健気に演じていたように思います。あと、忘れちゃならないのが競走馬リーンオンピート役を演じたスタースキーくん!(男の子であっているかな?ちょっと自信ありません。)優しくて整った顔の子でビジュアルも申し分ありませんでしたし、使われ過ぎて疲れ切った競走馬のあの独特なヨレヨレ具合を見事表現していました。今作が映画初出演ということだそうですが堂々と演じ切っていました。可愛いぞ!

 

ストーリーとしてはとても重い内容ですが、私はダレることなく鑑賞できました。チャーリーは驚くほど悲しい事が多すぎて観ている側としては少ししんどくなってしまいますが、所々で人の小さな親切に助けられるシーンが心のHPを赤から黄色に変えてくれます。

 

旅の先々で種類の違ったダークサイドに堕ちた人々に出合い、チャーリーは痛い目にも合いますが、そのまま堕ちていくのではなく「ここは違う、僕たちの家じゃない」としっかり道を踏みしめ、成長していく姿に目頭が熱くなります。

 

無責任な親に振り回され、命を道具として使っている大人たちの霞んだ姿を嫌というほど見せつけられ、ピートも助けてやれなかったと悔やむチャーリーの純粋な心は、劇中で映し出される美しいけれど果てしなく何もない風景にピッタリで、胸がじんわりと苦しくなりました。暗い出来事のオンパレードではあるのですが、チャーリーは決して折れずに生きる強い気持ちを消すことなく灯し続けていたので、最後まで安心して観ることができたのも良かったです。

 

馬が好きな方にはちょっと悲しいシーンがあるので強くお勧めできないですが、観て損はないんじゃないかなと思います。素晴らしい作品でした。

 

是非是非