マイ・サンシャイン

2017年公開の作品です。

 

マイ・サンシャイン[Blu-ray]

 

ざっくしあらすじ

1991年ロサンゼルス・サウスセントラルの片隅に、訳あって親と暮らすことのできない子供たちの面倒を見ているホストマザーのミリー。そんな家族の隣に住む口が悪く短気ではあるけれど、困った時には手を差し伸べてくれる根は優しい白人男性オビー。決して裕福とは言えない環境で毎日忙しくも楽しく暮らしている彼らの身近で、ラターシャ・ハーリンズ事件とロドニー・キング事件が起きます。この2つの事件が引き金となり黒人たちの不満が爆発しロサンゼルス暴動へと発展してしまいます。LA暴動の街中は一気に荒れ果て危険な状態に。その状況をTVで観てここぞとばかりに外へ出てしまった子供たちをミリーは必死に探し回ります。

 

愛情いっぱいのホストマザーのミリー役に、ハル・ベリー。短気だけど根はいい奴オビー役にダニエル・クレイグがキャスティングされています。

 

ところで、ダニエル・クレイグって宙づりになってる役が多くないですか?私が観るダニエル・クレイグの作品って宙づりになっている割合多めなんですよね。「エリザベス」でも吊られていたし、「ドラゴンタトゥーの女」でも吊られてたし、「007」でも吊られていたはず…。今作ももちろん吊られてます。ジョディ・フォスターが、ある程度キャリアを積むとあるパターンが見えてくるの。と言っていたのですが、ダニエルの場合は「宙づりにされる役が多い」ってのがもしかしたらパターン化してきているかもしれないですね。

 

まぁ話が逸れましたが本題に戻ります。

今回のこの作品、テーマはとても良かったなーと思うのですが、時間が短すぎてここからが大事なんじゃ?ってところが大幅に端折られている感じが否めませんでした。最近の近い作品だと「デトロイト」も同じように人種差別による暴動をテーマにした作品でしたが、まだ「デトロイト」の方がまとまりがあって描き方も明確だったと思います。

 

決して駄作ではないんです。ですが、家族だったり、思春期の少年の青春だったり、ミリーのオビーへの想いだったりと映画としては大事なイベントが盛りだくさんで、観客としては消化してしまいたいものがだくさんあるのに、時間が短すぎて全てが中途半端で終了してしまうのはいかがなものかと…。きっと、この終わり方が製作者の意図したものなのかもしれないのですが、もうちょっとどうにかできなかったのかなー?と思いました。

 

あと、ハル・ベリーダニエル・クレイグという素晴らしい俳優を2人も起用しているのになんだか2人の出番が少ないような気がするのもなぁ。特に、ダニエルはもう少し出してあげてもよかったのではないかと思いますが、尺の都合でしょうねぇ。この2人の演技を楽しみにした観客はきっと物足りなかったことでしょう。

 

ここまで本当に惜しい作品って初めてじゃないかなってぐらい惜しい作品で、もっと時間が長ければ、せめてあと30分。もしくは、青春群像劇をもう少し短くすればまだ纏まりがあって消化不良が抑えられた作品になったような気がします。テーマや撮り方はとても良かったですし、チョイスされている俳優たちも素晴らしいかったので、すっごくつまらなかったー!とはなりませんが、うーん。次回作に期待ですかねぇ。