グッバイ・クリストファー・ロビン

2017年公開の作品です。

 

グッバイ・クリストファー・ロビン [DVD]

 

ざっくしあらすじ

作家のアラン・アレクサンダー・ミルンは、第二次世界大戦で患ったPTSDに悩まされていました。そんな中、妻のダフネが男の子を出産しますが女の子を望んでいたダフネは子育ての大半をナニーのオリーヴという女性に託してしまいます。アランも自分の子供ではありますが上手く接することができず、筆の方も思うように進まなくなっていました。強い照明の光や大きな物音にまで怯えてしまう毎日に嫌気がさし、気分を変えるべく物静かな田舎へと引っ越します。環境が変わったことが功を奏したのか、アランは息子クリストファー・ロビンと上手く接することができるようになり、息子と遊んでいるうちに新しい物語のアイディアが思い浮かびます。しかし、その作品は後に息子クリストファー・ロビン・ミルンの生涯において大きな重荷になっていくことになります。

 

A・A・ミルン役にドナルド・グリーソン、妻ダフネ・ド・セリンコート役にマーゴット・ロビー、ナニーのオリーヴ役にケリー・マクドナルドクリストファー・ロビン・ミルン役にウィル・ティルストン/アレックス・ロウザーがキャスティングされています。

 

ドナルド・グリーソンといえば「ピーターラビット」にも出ていたので、私の中で「動物が活躍する児童書の実写作品によく出る人」と認識されました。あと、この方のお父さんも俳優なのですが、最近見た「ヒトラーへの285枚の葉書」はとても良い作品でした。

 

同じような時期にディズニーの方でクマが大活躍する作品が公開されていましたが、この作品はそのクマのせいで人生がハードモードになってしまった息子の話です。

 

ジャケットだけ見るとほんわかした作品なのかな?と思い観ていたのですが、妻ダフネが「女の子が良かったんだけどー!」とか言い出した時点で、あれ?何だか雲行き怪しくない?となり、まだ赤ん坊のクリストファー・ロビンをナニーに押し付けてパーティーに行く夫婦を観て、これは可愛らしい話ではないんだなということをようやく理解しました。

 

アランは森の中で生活していくうちにクリストファーともようやく上手く遊べるようになり、クリストファーもニッコニコで幸せそうなのですが、その温かく楽しい父と子の時間を作家であるミルンは本にします。いや、別に構わないんですよ?いいじゃないですか、あんな素晴らしい本。きっと永遠に語り継がれることでしょうし、グッズだって何億単位で売れていくことでしょう。でも、それは「息子クリストファー=お金のなる木」となってしまうことをもう少し真剣に考えるべきでしたよね。

 

本が売れた後のクリストファーの生活は激変してしまい、街に出れば皆に囃し立てられどこへ行ってもクマの宣伝に使われてしまいます。このあたりのシーンはちょっと観ていられなかったですね。ダフネ役のマーゴットが演じる非常識で、デリカシーのない母親が凄く上手くて本当に嫌でしたね(笑)。その反面、ナニー役のケリーが視聴者にとってもクリストファーにとっても心の拠り所でした。たぶん、オリーヴがいなかったらクリストファーも私も危ないところでした。

 

ただ、ミルンもダフネもクリストファーを心から愛してはいるんです。ですが、その子にとって何が重要で何を求めていて何が大切か?という子育てにおいて基礎的な部分が欠落していただけなんですよね。ダフネの女の子を望んだ理由も「男は戦争に取られるから」という理由でしたしね。でも、こういった素直で可愛らしい子供が周りの大人のせいで苦労を強いられてしまうストーリーが苦手な人には向いていない作品になっていると思います。正直、私はきつかったです。

 

ただ、可愛らしいお話の裏には壮絶なドラマがあるというのは面白いと思いますし、ディズニーのクマを観た後にこの作品を観ると現実引き戻してくれると思うので、ユアン・マクレガーとクマのキャッキャウフフな世界から抜けられないお花畑な脳内をリセットしたいとお考えの方には大変お勧めな作品だと思われます。

 

是非是非。