メットガラ ドレスをまとった美術館

2017年公開の作品です。

 

メットガラ ドレスをまとった美術館(字幕版)

 

2015年にメトロポリタン美術館にて開催された「メットガラ」開幕までの8か月間に密着したドキュメンタリー映画です。

 

主な登場人物は、巷では「氷の心を持った女」などと言われている米ヴォーグ誌編集長のアナ・ウィンター。今回も凍てつくような言葉でビシビシとスタッフにダメ出ししています。

そして、メトロポリタン美術館衣装研究部門のキュレーター、アンドリュー・ボルトンは今回一番奔走しています。主役といって良いほどの活躍ぶりでした。

その他に、映画監督のウォン・カーウァイやデザイナーのジャン=ポール・ゴルチエカール・ラガーフェルドジョン・ガリアーノ、トム・ブラウンなどの錚々たるメンバーが出演しています。

 

観る前からアナ・ウィンターが出るというだけでなんだか緊張したのですが、鑑賞中もやっぱり緊張しました(笑)。怒鳴ったり、強い口調で話す訳ではないのですが、それがめちゃ怖い(笑)、歯に衣着せぬとは正にこのことと言わんばかりの物言いで周囲を統括していく様は、世界トップシェアのファッション誌で編集長やってるだけあるなと思いました。

 

そんなヴォーグ誌が主催する「メットガラ」は元々は内輪でしっぽりと行っていたパーティーだったものを、このアナが大規模なものへ変身させたものなんですね。なので、このパーティーに出席したいセレブは数知れず、チケットを求めてヴォーグに掛け合うセレブもいたりするほどの祭典へと成長しました。

 

この時のテーマは「中国」。首席キュレーターのアンドリューは中国へ足を運びリサーチしたり、政治的な意味合いを持ってしまう展示についてウォンに相談したりと目が回るような忙しさでした。この大忙しのアンドリューが所属しているのが、メトロポリタン美術館衣装研究部門です。

 

衣装研究部門などという部があることをこの映画で初めて知るほど、美術やファッション関係に無頓着な私には目に映るもの全てが物珍しかったです。この衣装研究部門は地下の窓もないような場所にあり、まるで倉庫のような雰囲気です。ですが、貯蔵している衣装はどれも目を見張るような美しさで、ドレスなどと言うものにまるで興味のない私ですらウットリしました。

 

「ファッションは芸術か否か」との論争もあるようですが、あの貯蔵されている衣装や展示されたドレスを見るからに、これは芸術と言っても過言ではないと私は思いました。それほど繊細で綿密に製作された服はずっと見ていたくなるような美しさと、気高さが感じられました。

 

この衣装をいかに美しく展示していくのか、これはキュレーターの腕の見せ所ですが、とっても大変そうでした。観ているこっちが胃が痛くなるほどスムーズにいかない会場設営、周囲の理解、細かな業務の多さ‼途中から「アンドリュー、がんばれ!君なら出来る!素敵だよ!」と応援している私がいました(笑)。

 

アンドリューは、彼のイヴ・サンローランのような風貌をしており、知的でやさしげで繊細な印象の方です。なので、あれだけの忙しさの中でトラブルに見舞われたら苛立ちを見せても不思議ではなかったのですが、決してそのような感情を見せずに仕事に打ち込む姿は、キャパシティがすぐオーバーしてしまう私にとって見習うべきところでした。

 

あと、アンドリューはよくトム・ブラウンのカーディガンやダウンを着用していたので、てっきりトム・ブラウンが好きなんだと思っていたのですが、実生活でのパートナだったんですね。それを知って心がほっこりしました。彼氏の作った服着てただけなんじゃん?もう、かわいいヤツめ(*´ω`*)!

 

肝心のメットガラですが、高価なドレスを着た歌手や女優や俳優、その他著名人が一堂に会する様はなんだか少し下品な印象を受けてしまいました。個人的な感想なのであまり気にしないでいただきたいのですが、上品な印象は受けなかったです。何故かというと、センスとドレスの着こなし勝負ではなく、露出で勝負!な女性が多かったのも要因かなと。もう、裸じゃない?と思ってしまうようなドレスでカメラの前でポーズをとっている姿からは気品やセンスを全く感じず、素敵な展覧会を作り上げたアンドリュー達に対して少し失礼ではないのだろうかとも思ってしまいました。収益などを考えば大成功なのでしょうが、あれだけの素晴らしい展覧会に対し、もう少し敬意を表することができる人物を招待してほしいなと感じました。

 

何か一つの目標に向かって突き進んでいくクリエイター達の姿を観るのは本当に感動します。鑑賞後は、ただの視聴者なのに自分もこの仕事に加わったかのような充実感を得られました。「ファッションが教えてくれたこと」や「ディオールと私」などがお好きな方は是非観るべき作品になっています。

 

是非是非!