ジェイコブス・ラダー

1990年アメリカで製作された作品です。

 

ジェイコブス・ラダー(字幕版)

 

ざっくしあらすじ

郵便配達員として働くジェイコブ・シンガーは、ベトナム戦争での銃撃戦のトラウマから毎日悪夢にうなされていました。それと同じくして、ジェイコブの身の回りで不可解な出来事が頻発するようになります。そんなときに、同じ大隊の仲間ポールから連絡がありました。話を聞くと、ポールは自分と同じような悪夢や不可解な出来事を経験しており、自分だけではないことを確信。あの銃撃戦の日に何かが起こり、軍が何かを隠しているのでは?ジェイコブは真相を確かめるべく動き出します。

 

監督は、「危険な情事」「ナインハーフ」などを手がけたエイドリアン・ライン

キャストは、立ち上がるとワッ!デカい(゚Д゚)!なジェイコブ役に、「トップガン」「ミスティック・リバー」のティム・ロビンス。今作ではメガネ男子のビジュアルがとっても似合っていました。役者の他に「デッドマン・ウォーキング」では監督業もこなしており、オスカーにノミネートされている経験も持ちます。

ジェイコブの恋人で華奢なスタイルが素敵なジェシー役にエリザベス・ペーニャ。残念なことに2014年に肝硬変により55歳の若さでお亡くなりになっています。

ジェイコブが厚い信頼を寄せている整体師役にギャング映画の名バイプレーヤー、ダニー・アイエロ

その他、交通事故で亡くなったジェイコブの息子役で「ホームアローン」出演前のマコーレー・カルキンが出ています。

 

旧約聖書の「ヤコブの梯子」がベースになっており、旧約聖書に詳しい方が観るとまた違った印象を持つのかもしれませんが、この作品を見るまでは「ヤコブの梯子」という言葉すら知らない無知な人間だったのでおかげさまで一つ知識が増えました。

 

まず、旧約聖書というもの自体よく分からなかったのですが、要はキリスト教聖典としている「新約聖書」の元になったもので、ユダヤ教聖典としているものがこの「旧約聖書」なんですねー。へぇ~( ..)φ

ヤコブというのも旧約聖書の中に登場するヘブライ人の族長で、「ヤコブの梯子」もこの彼が夢に見た天使が上り下りしている、天から地まで至る梯子、あるいは階段。のことなんですね。ちなみに、ヤコブは英語にすると「ジェイコブ」となります。

 

なんか何処かで観たことのある世界観だなぁ。と思い調べてみたところ、大ヒットゲーム「サイレント・ヒル」はこの作品に強く影響を受けているようです。確かに、雰囲気が似ているクリーチャーがいましたわ。ちょっと納得。

 

サスペンスのコーナーに置いてあったので、サスペンスな気持ちで観ていたのですが、どちらかといえばホラーでした。ジャケットだってホラー要素満載ですよね、というかなんと秀逸なデザイン!一度見たら忘れられないです。

ストーリーも細かく骨組みがされており、観ている最中は夢なの?現実なの?妄想なの?なんなの?と混乱してしまいそうになるのですが、最後でちゃんと綺麗まとめてくれているので「結局何だったわけ(?_?)」とならずに済みます。

 

変なクリーチャーなんかが出て来るので不気味っちゃ不気味なのですが、何故不気味なのか、何故恐怖に慄くのか。この物語のベースが「ヤコブの梯子」この部分を考えばすぐ分かるのですが、生と死の葛藤を表現しているためなんですね。なので、安易に怖そうだから、気持ち悪そうだからだけで毛嫌いして観ない選択をしているのであればそれは大変勿体ないことをしていると思います。

 

主人公ジェイコブを演じるティムの演技もとても素晴らしく、生きることへの執着心や今まで生きてきた中での後悔や罪悪感など様々な感情が交差する役を見事に表現していました。こんなに辛い事ばかり起きていたらくじけそうになりそうなのに、ジェイコブは決して自暴自棄になったりしなかったのが印象的でしたし、死にそうになってもなんとか持ちこたえる様がタフでしたしね。

 

宗教的な要素がある作品はどうも苦手という方もいらっしゃるとは思うのですが、この作品は「ヤコブの梯子」をベースにしたというだけであり、本当に伝えたいメッセージは宗教的なことなんかではないと思います。なので、あまり気にせずに鑑賞してもらいたいです。ラストシーンは心にどっしりときますよ。

 

是非是非!