1967年アメリカで公開された作品です。
ざっくしあらすじ
写真家のサムは降り立った空港で、見知らぬ女性から一体の人形を預けられます。不思議に思いながらも盲目の妻スージーの待つアパートへ持ち帰ります。しかし、その人形の中にはヘロインが入っており、その女はそのヘロイン入りの人形を持って逃亡している最中でした。そのヘロインを追っていた3人組の男、ハリー、マイク、カリーノはサムのアパートを突き止めます。3人は妻スージーにバレないように人形の在りかを聞き出しますが、スージーも人形のことは全く分かりませんでした。何としてでもヘロインを入手したい3人は、何も見えないスージーを恐怖へと陥れます。
監督は、「007ドクター・ノオ」「007ロシアより愛をこめて」「007サンダーボール作戦」などのテレンス・ヤング。この作品は007シリーズが一段落したあとに製作されたものです。ちなみに、第2次世界大戦中に負傷したところをボランティア看護師だった主演のオードリーに介護されています。
キャストは、不運な事故で全盲になってしまったスージー役に「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」「シャレード」などのオードリー・ヘプバーン。今作ではアカデミー賞最優秀女優賞にノミネートされています。
知らない人からよく分からないものを貰っちゃダメだよー!な写真家の夫サム役に「ホット・ショット」などに出ているエフレム・ジンバリスト・ジュニア。「ヒッチコック劇場」や「サンセット77」などTV映画で多く活躍していた俳優です。
悪役3人組のハリー役に「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したアラン・アーキン。マイク役にリチャード・クレンナ、カリーノ役にジャック・ウェストンがキャスティングされています。
1967年というとオードリーが一旦映画から距離を置いた時期でもあり、離婚直前の時期でもありました。そのためか、スリムな体系がよりスリムになっていた印象があります。ですが、スージーという役柄もあり、細すぎる体系も違和感なく受け入れることができます。同じ年に公開された「いつも二人で」ではとても楽しそうにしていたオードリーですが、この作品では正反対の恐怖に慄く彼女を観ることができます。
「シャレード」もおしゃれで素敵なサスペンス作品でしたが、こちらの作品の方が本格的なサスペンススリラーに仕上がっています。全盲という設定がまず良いですよね。「見える恐怖」も怖いっちゃ怖いですが、「見えない恐怖」って相当だと思います。このスージーのように事故で突然全盲になってしまうというのも普通に考えたらかなり怖いですよね。普段何気なく見ていた日常が突然見えなくなるって恐ろしいです。それに加えて、このスージーは凶悪犯に襲われるんですからたまったもんじゃないです。
そして、なんといっても良くできてるなーと感心したのがラストシーンです。若干ネタバレになるので申し訳ないですが、書きます。スージーは犯人と渡り合う際に自分と同じ条件に状況を持っていくんです。その状況がタイトルにもある通り「暗闇」です。全盲であるスージーは暗闇の中で生きていて、普通の状況じゃ圧倒的に不利なんですね。なのでスージーは自分と同じ状況にするために、部屋の中を真っ暗にして犯人と戦うのですが、それがまぁ怖い。暗くて何も見えないって映画としてどうなの?とお思いの方もいらっしゃると思うのですが、心配いりません。ちゃんと怖いですよ(笑)。一瞬だけマッチの光で部屋の状況が分かるのですが、そのちょっと明るくなった瞬間がドキドキします。こう、犯人が近づいてきているのがチラチラ見えるのがもう本当に怖いですねぇ。特に大げさな視覚効果や特殊技術も使用していないのにこの恐怖感を描けるのは流石だなぁと思いました。
オードリーといえば「ローマの休日」や「マイ・フェア・レディ」あたりが有名で、この作品はあまり目立っているものではないのですが、私的には彼女の作品の中で1番面白く、素晴らしい演技をしている作品だと思っています。ストーリー自体は少し荒っぽいですが(知らぬ女性から人形貰って帰ってきちゃうとか)、そこに目をつぶれば大いに楽しめる作品になっていますので、見かけたら是非お手に取ってみてください。
是非是非!