サスペリアPART2/紅い深淵

1975年イタリアで公開された作品です。

 

サスペリア PART2 完全版(字幕版)

 

ざっくしあらすじ

ある講演会で霊感のあるヘルガという女性が聴衆の持ち物などを当てていた時、「この会場内に殺人者がいる」と言って突然ヘルガが苦しみだします。「またこの殺人者は人を殺します」との予言も叫び場内は騒然としていました。一方別の場所ではピアニストのマークがリハーサルを終えた後に友人のカルロと出会い談笑していました。ふと視界に入ったアパートの窓越しにヘルガが殺害される場面を目撃。すぐさまヘルガの部屋へ向かいますが、既にこと切れた後でした。その後、警察に事情を話しているところを新聞記者ジャンナに写真を撮られ、翌日の新聞にマークの顔が載ってしまいます。犯人に顔を知られたマークは自分に危害が加えられる前に事件の真相を解明しようと動き出します。

 

監督は「サスペリア」「フェノミナ」などでおなじみのダリオ・アルジェント。今作品は、「サスペリア」より前に制作されたもので、ストーリーも「サスペリア」とは全く関係のないものなのですが、日本の配給元が「サスペリアPART2」と銘打ったほうが伸びると判断したため、あたかも続編のようなタイトルにしたとのことです。当時はなんでもアリだったんですね(笑)。

 

キャストは、殺人現場を目撃しちゃう不運なピアニストマーク役に「グラディエーター」「スパイ・ゲーム」「ギャング・オブ・ニューヨーク」などのデヴィッド・ヘミングス。俳優の他に監督業も行っており、1973年には「別れのクリスマス」という作品でベルリン国際映画祭の監督賞を受賞しています。

棒のようにスリムな新聞記者ジャンナ役に「インフェルノ」「フェノミナ」などのダリア・ニコロディ。ダリオ・アルジェントとは公私にわたるパートナーで、娘のアーシア・アルジェントも女優をやっています。脚本家でもある彼女は、「サスペリア」を企画し脚本にも参加している多彩な方です。

 

有名なホラー映画を挙げると必ずと言っていいほど「サスペリア」もあがってきますよね。確かに「サスペリア」も素晴らしい作品でしたし、つい最近リメイクされて日本でも公開されていましたよね。今作品は「サスペリア」とは違いホラーでもオカルトでもなく、サイコサスペンスのジャンルではあるのですが、ホラーといっても過言ではない怖さがありました。

 

まず、あの操り人形の気持ち悪さったらないです。「SAW」でも人形が出てきますけど、私としては「サスペリアPART2」の人形の方が怖かったですね。表情はチャッキーっぽいんですけど、チャッキーのような滑らかな動きはないです。でも、不気味です。私の中でこの作品の一番のツボです。

 

音楽はお馴染みゴブリンが手掛けていますが、この作中に流れる音楽もなかなか秀逸です。ゴブリン特有のあの「ミョーン!」とした感じのメロディーが胸をざわつかせます。一番初めのシーンで流れる子供が唄っている曲も、なんだか気持ち悪いんですよねぇ。「戦争のはらわた」でも一番初めに子どもが歌う童謡の「ちょうちょ」が流れていましたが、あの気持ち悪さに近いものがあります。

 

あと、個人的に好きなのは、殺人シーンが派手なとこです。最初に殺されちゃうオルガは、おっぱい丸出しでメッタ刺しにされてしまうのですが、なんだかこういうシーンは時代を感じます。あの時代って意味もなくおっぱい出しちゃうじゃないですか?「なぜ(。´・ω・)?」と思いつつもいいもの見たなという感情も同時に沸き上がるので人間って不思議ですよね。サービスってことなんですかね?

 

一応、サスペンスものなので推理的な部分もちゃんとあり、ハラハラドキドキのシーンもしっかりあるので、ダレることはなかったです。正直「サスペリア」のほうが私はダレました。なので、この作品のほうがドッキリ度はかなり高いと思います。謎が明かされていく時のシーンは「ワッ(゚Д゚)!」となりましたしね。

 

表現が難しいのですが、アメリカにはないイタリア特有の暑苦しさというか濃さが観られる作品だと思います。映像、キャスト、女優の太めのアイライン。ハリウッドにはあまりない表現も面白いですし、残酷な殺人シーンなどヒッチコックとはまた違ったサイコサスペンスに仕上がっているのも素晴らしいです。あまりレンタルで見かけることがない作品ではあるのですが、もし見かけた際は是非お手に取ってもらいたいです。

 

是非是非!