ひつじ村の兄弟

 

2015年に公開された作品です。

 

ひつじ村の兄弟(字幕版)

 

ざっくしあらすじ

アイスランドに住む2人の老兄弟がいました。ずぼらで気の荒い兄キディーと真面目で羊をこよなく愛し可愛がっている弟グミ―。2人は隣同士に住み、先代から受け継いだ羊で生計を立てていました。しかし、同じような生活をしているにも関わらず2人は40年も口を利いていないのです。何かあれば牧羊犬に手紙を咥えさせて連絡を取るほど2人な仲は拗れていました。そんな羊で賑わっている村では、年に1度羊コンテストを開催しており、そのコンテストでグミ―はキディに負けてしまいます。グミ―は優勝した羊がどれほど良いものなのかを確かめるべく、キディの羊を観察します。その際に羊の様子がおかしいことに気づきます。その羊には疫病の症状が出ており、しかもその疫病は伝染病でもあったのです。グミ―は翌日、キディの羊が疫病に侵されていることを村人に知らせ、保健所に連絡を入れました。1頭疫病にかかると、もうその周辺の羊は助からないとされている病のため、村の羊たちは保健所職員の手によって全て殺処分されてしまいます。ですが、どうしてもあきらめきれないグミ―は数頭だけ地下に隠してしまいます。その羊たちが発端となり、2人の老兄弟の歯車が動き出します。

 

監督は、グリームル・ハゥコーナルソンプラハ舞台芸術アカデミー(FAMU)卒業の際に製作された「Slavek The Shit」が、2005年のカンヌ映画祭シネフォンダシオン部門に選出され、12の国際映画賞を受賞するなど才能ある監督です。今作も、カンヌ国際映画祭「ある視点部門」グランプリを獲得しています。

 

キャストは、兄キディ役にテオドール・ユーリウソン。レイキャビク市立劇場で舞台に立つベテラン俳優です。

弟グミ―役にシグルヅル・シグルヨンソン。俳優でもありますが、コメディアン・監督・脚本家など多彩な才能を持つ方です。

 

アイスランドは人口より羊の数のほうが圧倒的に多いんですね。まさに羊の国です。世界平和度ランキングや世界ご長寿(男性)ランキングで1位になるほどほのぼのとした国です。いいですねぇ(*´ω`*)

 

私はこの作品、のどかな大自然が広がる中で繰り広げられる兄弟げんかにほっこりするストーリーで終わるのかと思って観始めたのですが、結構ヘビーな内容で驚きました。

 

酪農家にとって最も恐ろしいことは、家畜が全滅することでしょう。それが始まって早々に行われるのです。愛情いっぱいかけて可愛がり育ててきた羊たちを、処分しなければいけないという状況は、酪農を経験したことがない私ですらかなり精神的にきびしかったです。グミ―はキディの羊が疫病だと分かった瞬間、すぐさま自分の羊を連れて帰り一生懸命洗ってあげるシーンから分かるように、羊は家族でもあるのです。その家族を殺処分しなければいけない苦しさは想像を絶するものです。

 

ですが、グミ―は数頭残してしまうのですねぇ。確かに、あきらめきれないです。先代から受け継いだ由緒ある血統を絶やすわけのはいきません。その羊たちがきっかけで兄弟はまた少しずつ交流をもってゆくのですが、ここからがまた私の予想が外れました。

「えっ⁉(;´Д`)」ってリアルに言いました(笑)。そんなぁ!とも言いました、そんなラストなんです。

 

なんというか、神話っぽいともいえる感じなのですが、もやもやした気持ちで終わってしまいます。なんという言葉がこの作品に合うのか、一生懸命無い知識を絞って考えてみたのですがどれもしっくりきません。「せつない」とか「やるせない」とかそんな言葉でもないんです。かっちり合わないんです。なので、ハッピーな気持ちになりたいときや、笑顔で席を立ちたい気分の時に見る作品ではないことは断言しておきます。

 

ですが、観た後もずっと考えてしまう作品もそうそうないので好き嫌いはありますが、私はとても良い作品だったなと思っています。するめ系作品ですね。進んでお勧めはできないですが、時間が有り余っていて余裕があるときに手に取ってもらえたらいいなと思います。

 

是非是非!